10月19日、日本原子力研究開発機構(JAEA)の「幌延深地層研究センター」を視察しました。
幌延町は稚内市から車で約1時間。当日はあいにくの冷たい雨でした。
原子力発電所から出る使用済燃料から、燃料として再利用できるウランとプルトニウムを回収した後に残る「高レベル放射性廃棄物」。
これを最終的に地下深い地層中に処分することが、国の基本方針となっています。
幌延深地層研究センターは、平成12年に北海道、幌延町、JAEA側の三者で協定を締結し、平成13年から調査研究を開始しました。
地上からの調査研究に始まり、平成17年から地下施設の建設・坑道掘削を進め、平成26年には深度350mでの研究が本格化。令和7年9月には深度500mまでの坑道掘削が完了しました。
350m調査坑道の延長は約831m、500m調査坑道は約208mに及びます。

ここでは、地層処分に必要な技術の信頼性向上と高度化に向けた調査・研究が行われています。
なお、この施設はあくまで研究施設であり、放射性廃棄物の最終処分場にはしないことが、地元との協定で定められています。
核燃料サイクルでは、使用済燃料の約95%が再利用可能な資源とされ、残る約5%に含まれる核分裂生成物などが高レベル放射性廃棄物として処理されます。
100万kW級の原子力発電所を1年間運転すると、約20~30本の「ガラス固化体」に相当する高レベル放射性廃棄物が発生します。
ガラス固化体は、高さ約134cm、直径約43cm。製造直後の表面温度は200~300℃にも達し、放射能が天然ウランと同程度の水準になるまでには数万年という長い年月が必要とされています。
国内には既に2,530本のガラス固化体があり、これまでの使用済燃料を全て再処理した場合、合計で約28,000本相当になります。
地層処分の基本は、人間の生活環境から「隔離」し、地下深くの安定した岩盤に「閉じ込める」ことです。
ガラス固化体を金属容器で包み、その周囲を粘土などで覆う「人工バリア」。さらに、地下300m以深の岩盤による「天然バリア」。
この多重バリアによって、地下水による放射性物質の移動を抑え、長期間にわたり人間の生活環境への影響を防ぐ仕組みです。
まさに、念には念を入れた安全対策です。

最終処分地の選定には、文献調査に概ね2年、概要調査に概ね4年、精密調査に概ね14年。その後も処分施設の建設、操業、閉鎖まで長い年月が必要です。
国は、全国に1か所、ガラス固化体4万本以上を処分できる施設の整備を目指しています。
既に発生している分だけでも約28,000本相当。今後も原子力発電所の稼働によって廃棄物は増え続けます。
4万本に達する時期は今後の原子力発電所の稼働状況によって変わりますが、将来の発生量を見据えた処分能力の確保が必要です。
これからの電力需要の増大を踏まえると、原子力発電所の稼働は安全性の確保が大前提ですが、廃棄物処分技術の高度化と最終処分場の確保は、先送りできない大きな課題です。
今回、初めて地下500mの研究坑道を視察し、専門家の皆さまから様々なお話を伺いました。
実際に地下深くまで降り、研究の現場を自分の目で見たことで、その必要性と重要性を改めて痛感しました。
研究者の皆さまには、ぜひ頑張っていただき、地層処分技術の信頼性がさらに高まり、日本と世界が抱える「原子力発電のボトルネック」の解決につながることを期待しています。
私も、こうした重要な研究を積極的にサポートしてまいります。









