国土交通委員会において、近年の災害リスクの高まりを踏まえ、観測技術・法制度・防災体制の実効性を軸に、以下の5つの論点について政府を質した。
1.強靱化法以来の技術・制度の進化と、水防法改正の意義
近年、河川水位計や河川監視カメラの大幅増加、AIを活用した高精度の解析技術、海岸部の波浪予測など、観測・予測技術が急速に進化している。
こうした技術的基盤が整備されたことで、今回の水防法改正(警戒レベルに応じた情報提供の体系化)が可能となった点を確認。制度が実態に追いつき、避難行動に資する仕組みへ進化した意義を明らかにした。
2.防災気象情報を「わかりやすく」周知し、住民の避難行動につなげる仕組み
能登半島地震など過去の災害では、情報は発信されていたものの「住民がどう行動すべきか」が十分伝わっていない事例が発生。
後藤議員は、気象庁のみならず、自治体・消防・メディア・SNSなど関係機関が連携し、専門的情報を“理解しやすい形”で住民に届ける必要性を提起。
避難行動につながる実効性のある周知体制の構築を求めた。
3.富士山噴火時の火山灰処理計画の具体化
東日本大震災の10倍規模とされる降灰が都市機能を麻痺させる可能性を指摘。
東京都・神奈川県など都市部では、仮置場や最終処分場の確保が極めて困難であり、現行計画では“受け皿”が不足している点を問題視した。
山梨・静岡との連携、観測網の強化、平時からの計画具体化を求め、実行可能な処理体制の整備を強く促した。
4.河川敷の樹木化対策の中長期的な計画の必要性
全国約270万平方メートルに及ぶ河川敷の樹木化が、洪水時の流下阻害につながり、下流の人口集中地域のリスクを増大させている現状を指摘。
地方整備局が積極的に対応している事例を評価しつつ、全国規模で「どの程度の樹木化が進んでいるのか」が十分把握されておらず、
中長期計画としての伐採・管理計画を国として明確化することの必要性を示した。
5.建設投資と官民バランス、人手不足下での災害対応力の確保
建設投資はピーク時の80兆円から半減し、建設従事者も600万人から480万人へ減少。
防災対応の現場力が弱体化する中、官民バランスを見直し、建設業の担い手確保や生産性向上が不可欠であると指摘。
大規模災害時の即応力を維持するため、国として計画的な建設投資と体制整備の必要性を強調した。
【後藤ひとし 発言要旨】
- 観測網・解析技術の進展を踏まえた水防法改正は意義が大きく、最新技術を制度に反映し続ける必要がある。
- 防災気象情報は、専門家だけでなく住民が避難行動につなげられるよう、分かりやすい形で発信すべき。
- 富士山噴火時の火山灰処理は都市機能に重大影響を与えるため、仮置場・最終処分の計画を早期に具体化すべき。
- 河川敷の樹木化は洪水リスクを高めており、全国的な実態把握と中長期の管理計画が不可欠。
- 建設投資と担い手の減少は災害対策力の低下を招く。官民のバランスを見直し、現場力を維持・強化する体制が必要。














