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【1】政策評価制度の実効性について
後藤斎:
政策の目的は、国民生活をより良くすることにあります。そのためには、政策を評価し、その結果を次の改善に結び付ける不断の努力が不可欠です。
政策評価制度は、政策評価書を作成し、報告書を取りまとめること自体を目的とするものではありません。限られた財源の下で政策効果を客観的に検証し、その結果を次の政策へ反映させる、いわゆるPDCAサイクルを実質的に機能させるための重要な基盤です。
しかし、現実には、評価書の作成が自己目的化し、評価結果が政策改善に十分に結び付いていないと思われる事例も見受けられます。
国民が求めているのは、評価を行ったという事実ではなく、評価を踏まえて何を改め、どのような成果につなげたかという結果です。評価結果が予算要求、制度改正、事業の廃止・見直しにどう反映されたかまで示されて初めて、国会による行政監視機能も実効性を持ちます。
政府は、政策評価制度の実効性をどのように高め、各府省のPDCAサイクルをどのように機能させていくお考えなのか、総務大臣にお尋ねをいたします。
林芳正総務大臣:
政策評価は、各府省がその所掌する政策について政策効果を把握し、自ら評価を行い、その結果を政策に適切に反映させることにより、政策のPDCAサイクルを回し、効果的・効率的な行政を実現するものです。
令和5年3月には、政策評価の機能を最大限活用した新たな挑戦や前向きな軌道修正が積極的に行われるよう、政策評価に関する基本方針を見直し、各府省において新たな政策評価の手法の導入や、意思決定過程における活用方法等の試行に取り組んでいるところでございます。
総務省といたしましては、基本方針の見直しの趣旨を踏まえ、政策改善の取組が推進されるよう、各府省の取組をしっかりと支援してまいります。
【2】官民ファンドの現状について
後藤斎:
官民ファンドは、民間だけでは十分な資金供給が難しい成長分野に政策的に投資をし、産業競争力の強化や新たな需要の創出を図るため設立されてきました。
しかし、先日、クールジャパン機構の累積赤字が約540億円に達していることが明らかとなり、官民ファンド制度全体の在り方にも厳しい目が向けられています。
全ての官民ファンドが政策目的に照らして十分な成果を上げているのか、政府全体で検証すべきです。損益だけではなく、民間資金の呼び水になったのか、政策目的の達成に資したのかという観点も不可欠です。
現在、政府が所管する官民ファンドは総計で何件あり、投融資総額及び累積損益はどのような状況か、官房長官にお伺いをいたします。
木原稔内閣官房長官:
全ての官民ファンドの決算が公表されている令和7年3月末時点で申し上げると、官民ファンドの数は15、官民ファンド全体の実投融資額は約5.3兆円、累積損益は7,123億円の黒字となっています。
【3】クールジャパン機構の成果と今後の方向性について
後藤斎:
我が国の優れた文化、コンテンツ、食、ファッション、ビューティー、観光などを海外に発信し、新たな需要を開拓するという政策目的は今なお重要です。
しかし、多額の公的資金を投入している以上、成果と責任は厳格に検証されなければなりません。
クールジャパンのこれまでの成果と課題をどのように評価しているのか。また、制度の見直しや官民ファンド全体の統廃合を含め、今後どのような方向性で取り組むのか、経産大臣にお伺いします。
赤澤亮正経済産業大臣:
クールジャパン機構については、政策性や収益性の達成状況を評価するKPIが4つ設定されており、他の企業の海外需要獲得等への貢献、民間企業との連携、機構の出資による民間資金の誘発という、4つのうち3つのKPIについては、2025年度末時点でいずれも目標を達成しております。
他方で、4つ目のKPIである累積損益については、2025年度にマイナス540億円となり、修正後計画における目標値であるマイナス426億円を下回ったことについて、経済産業省として重く受け止めております。
2022年11月の財政制度等審議会財政投融資分科会で示された方針では、修正後計画における累積損益の目標値を下回った場合には、クールジャパン機構及び経済産業省は、他の機関との統合又は廃止を前提に具体的な道筋を検討するとされています。
今般、2025年度の累積損益マイナス540億円が、修正後計画における目標値マイナス426億円を下回ったことを踏まえ、経済産業省としては、早期に外部有識者による検討会を立ち上げ、その議論を踏まえて具体化してまいります。
【4】リニア中央新幹線の早期開業について
後藤斎:
私は、国土交通委員会において、累次にわたりリニア中央新幹線の整備状況と今後の見通しについて質してまいりました。
そうした中、7月7日に静岡県知事が着工容認を表明されました。当初は2027年度、来年度が開業予定でした。しかし、現在も新たな開業時期は示されておりません。
東海道新幹線は、老朽化や南海トラフ地震等により長期不通になるリスクを抱えています。東京、名古屋、大阪を結ぶ大動脈を二重系化するリニア中央新幹線は、国土強靱化、地方創生、国際競争力の観点からも、我が国の将来を左右する国家プロジェクトです。
政策評価の観点からも、当初計画と現状を冷静に分析し、一日も早い開業に向けた工程を示すべきです。国として、JR東海任せにせず、関係自治体との調整も含め、責任ある関与を強めるべきです。
早期に開業すべきと考えますが、国土交通大臣の御見解をお伺いいたします。
金子恭之国土交通大臣:
品川―名古屋間の早期開業にとって重大な課題であった静岡工区について、静岡県知事が、7月18日にJR東海との間で自然環境保全協定を締結することを表明しました。
この協定締結により静岡工区の着工にめどが付くこととなり、JR東海からは、静岡工区のトンネル掘削工事に着手をすれば、開業時期について一定の見通しを立てることはできると聞いております。
かねてより、JR東海の社長に対して、静岡工区着工後、品川―名古屋間の開業の見通しを明らかにするよう要請してきた国土交通大臣といたしましては、同社が、他工区の工事の現状等も分析の上、新たな開業の見通しを速やかに明らかにされることを期待しております。
国土交通省といたしましては、引き続き、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けて、関係自治体やJR東海と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
【5】花粉症対策とスギ花粉症緩和米の実用化について
後藤斎:
今や花粉症は、日本人の二人に一人が罹患するとも言われる国民病です。労働生産性の低下、医療費、医薬品費などを含む社会的損失は極めて大きく、経済損失は一日当たり約2,450億円、一か月では約7兆円を上回るという推計もあります。
政府は、2023年に花粉症対策に関する閣議決定を行い、総合的な取組を進めていますが、社会的損失の大きさに見合う実効性が今問われております。
農林水産省が開発を進めてきたスギ花粉症緩和米は、20年以上研究が続けられ、安全性確認など一定の成果が得られながら、いまだ実用化に至っていません。2010年度に約5億5千万円、2011年度には約6億円の予算が計上された時期もありましたが、継続的な予算措置は十分とは言い難く、研究成果が国民生活の改善に生かされていないと考えます。
長年研究開発を続けてきた以上、出口戦略を明確にする責任があります。政府は、これまでの研究開発成果をどのように評価しているのか、そして実用化に至っていない要因をどう分析しているのか、農林水産大臣に伺います。
また、当初は御飯としての実用化を目指し、その後、医薬品としての開発へ重点を移してきましたが、医薬品に加え、機能性食品としての実用化も二刀流で検討し、具体化すべきです。早期実用化に向けたお考えを農林水産大臣にお尋ねをいたします。
鈴木憲和農林水産大臣:
花粉症緩和米に関する研究については、平成12年から開始し、これまで、スギ花粉症に対する薬の服用量が減少するなどの効果が確認されております。
一方、実用化に至っていない要因は、主に臨床試験のデータが十分でないこと、花粉症緩和米の品質が安定していないことと考えております。
次に、花粉症緩和米について、医薬品に加え、機能性食品としての早期実用化に向けて並行して検討すべきではないかとのお尋ねがありました。
花粉症緩和米は、安全性や有効性などに関する研究を更に進めることにより、まずは医薬品としての実用化を目指しています。
一方、機能性食品の実用化に当たっては、花粉症緩和米は、これまで食品として提供されていないため、個々人の消費量とアレルギー反応が起きる摂取量の関係についてのデータを幅広に取得する必要があるという課題があります。
農林水産省としては、医薬品、機能性食品のいずれにしても、花粉症緩和米の早期実用化に向けて、引き続き安全性や有効性を明らかにするための取組を進めてまいりたいと考えております。
【6】米価と食料システム法の運用について
後藤斎:
昨年来高騰していた米価については、備蓄米放出による価格上昇の抑制効果は限定的でした。
足下では過剰在庫圧力等から米価が低下をし、秋以降の新米価格の大幅下落も懸念されています。消費者にとって米価下落は歓迎すべき面もありますが、生産者が再生産を維持できない水準まで価格が下がれば、我が国の主食であり、食料安全保障を支える米作りそのものが持続できません。
必要なのは、消費者に過度な負担を求めず、同時に生産者が将来にわたって安心して生産を続けられる適正な価格形成です。
本年施行された食料システム法は、食品等の持続的な供給を実現するため、取引の適正化と合理的な費用を考慮した価格形成を進める法律です。価格上昇時だけではなく価格下落時にも、生産者と消費者の双方にとって望ましい価格形成が図られるよう運用されるべきです。
政府は、生産コストも踏まえ、適正な価格形成を実現するため、同法をどのように運用されていくのか、農林水産大臣にお伺いをいたします。
鈴木憲和農林水産大臣:
食料システム法は、生産から販売に至る各段階のコストを明確にし、コスト割れでの供給を抑止しようとするものです。
この実効性を確保するため、農林水産省では、フードGメンの体制を整備し、取引の実態調査を行い、関係者の間で協議に応じないなどの事案が確認された場合には、厳正に対処していく考えです。
これらの措置により、生産者の再生産、再投資が可能で、消費者にも理解が得られるような価格形成の推進に取り組んでまいります。
【7】ナフサへの補助と備蓄制度について
後藤斎:
中東情勢の緊張緩和等を背景に、原油やナフサの国際価格は一時的に落ち着きを取り戻しましたが、現状は、米・イラン暫定和平合意は機能不全に陥り、先行き不透明感が改めて高まっています。
塗料、樹脂、包装材など、ナフサを原料とする製品価格はなお高い水準にあります。多くの中小企業や国民生活への影響は続き、今後、価格の動向は予断を許しません。
私は、6月の本会議代表質問において、燃料価格抑制策の対象にナフサを加えるべきではないかと質問しましたが、再質問の総理答弁は、現時点では対象に加える考えはないという内容でした。
政府は、再び中東情勢が緊迫化しているこの局面でも、ナフサを対象に加える考えはないのか、改めて経産大臣にお伺いをいたします。
また、ナフサ製品は我が国産業を支える基礎素材であり、経済安全保障の観点からも安定供給の確保が極めて重要です。ナフサ備蓄制度の創設に向け、どのような検討を進め、今後どのように具体化していくお考えなのか、経産大臣にお尋ねをいたします。
赤澤亮正経済産業大臣:
原油や石油製品は、日本全体として必要な量を確保できておりますが、引き続き、供給の偏りや流通の目詰まりが生じていると承知をしており、全力で対応しているところでございます。
御指摘のナフサに対する補助については、ナフサ以降のサプライチェーンが広範かつ多層にわたるため、最終需要家や消費者にとって直接的な効果が届きにくいと考えています。したがいまして、ナフサを燃料価格抑制策の対策に加えることは現時点で考えておりません。
川下の関連製品の価格の上昇については、ナフサ価格の上昇だけでは説明できないと考えています。川上のナフサに補助金を入れれば問題が解決するとも限らないため、川上と川中で供給見通しが共有されず供給量を制限している、あるいは事業者間のコミュニケーション不足から供給の偏り、流通の目詰まりが生じている、あるいは川下の実績以上の発注などの原因を一つ一つ解消していくことが必要であると考えています。
いずれにしても、国民の皆様の命と暮らしを守るべく、必要な措置については、あらゆる選択肢を排除せずに検討をしてまいります。
ナフサの備蓄についてお尋ねがありました。
ナフサの備蓄については、ナフサは、御案内のとおり揮発性が高く、年単位の長期備蓄が難しいといった特性がございます。また、燃えやすい特性があり、備蓄するには消防規制に対応した特別な設備が必要となります。
こうした特性を踏まえつつ、どのような方法で備蓄することが適切なのか、また、支援の必要性など、その在り方について引き続き検討してまいります。
その上で、検討内容については、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えます。



